誰しもが一度は考えたことのある“死“。私が紹介する『DEATH』はイェール大学で長年人気の講義をまとめた一冊である。
死はどうなる事を意味しているのか、死ぬ事は悪い事なのか、なぜ死は怖いのか、などの疑問に哲学という学問を通して理論で考えようとする本である。不死が可能になったらそれを手に入れたいか、読者への問いかけを通して死について考えさせ、アンカウンタブルな残りの人生を大切に生きる事を学ばせている本にも思える。形而学的に“死”について結局何を示しているのか、については残念ながら言及されてはいないが、人間を正常に機能する身体(考え・感じ、愛する機能(P機能))と心臓を動かしたり、肺を広げたり縮めたりする機能(B機能)に分け、死の意味を分かりやすく理論的に考えようとしている。
誰もが避けて通ることができない“死”について、“自分にも必ず最期は来る”ということを再認識させ、人生をどう生きるかについて今一度考えるきっかけとなる本である。尊厳死について考えるきっかけを与えられた本でもある。
コラム掲載号:
理工学メディアセンターニュース219号(2019年5月)