本書は私が大学院生のとき人生観が変わるほど大きな影響を受けた本です。110年以上も前に書かれたものですが、変化の激しい現代社会においても、心の平静と落ち着きを与えてくれる名言が多く含まれており、感受性の豊かな若い世代の方には、特にお薦めしたい一冊です。
第一部の中では、幸福とは責任感や愛情を持って、創造と成功をもたらす仕事を着実にこなすことで得られるが、そのためには、あらゆる技術とおなじくコツがあり、怠惰を避け、習慣を活用すれば、ずっと楽に仕事ができると述べています。
「まず何もより肝心なのは、思い切ってやり始めること」、「大切なのは、事をのばさないこと」、「よく働くには、元気と感興がなくなったら、それ以上強いて働き続けないことが大切」、「明日はひとりでにやってくる。そして、それと共に明日の力もまた来るのである」は、私の好きなフレーズです。
私自身は「教育の秘訣は本来、学生を導いて一方では彼らの仕事(勉強)に対する愛好心と熟練とを得させ、他方では適当な時期に、なにか偉大な事柄に生涯をささげる決意をいだかせるように仕向けることである」を座右の銘として、これからも励みたいと思います。
コラム掲載号:
理工学メディアセンターニュース186号(2015年4月)