雪の結晶を世界で初めて人工的に作ることに成功した物理学者で、文筆家としても師である寺田寅彦の衣鉢を継いだと言われる中谷宇吉郎の名エッセイ集。
立春の日に玉子が立つというニュースが、玉子がズラリと直立した写真入りで世界中から発信された−その謎を宇吉郎が解き明かす「立春の卵」、測定誤差をわかりやすく解説した「地球の円い話」、良い研究を行うための条件が実感できる「霜柱の研究について」などは全ての理系学生にオススメ。私が好きな話は、趣味で始めた墨絵にもついつい科学的にアプローチしてしまう宇吉郎の茶目っ気が感じられる「南画を描く話」。1つ1つは短く、青空文庫でも読めるので研究の合間の気分転換にどうぞ。コラム掲載号:
理工学メディアセンターニュース235号(2021年12月)