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発行

慶應義塾大学
理工学メディアセンター
〒223-8522 横浜市港北区日吉3-14-1
TEL: 045-566-1477(内線40307)
email: rmc-info-group@keio.jp
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枇々木規雄先生(管理工学科)の一冊
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コーチング : 人を育てる心理学 by 武田建ISBN: 4414403189
発行年: 1985.9
心理学に基づくコーチングの基礎的な理論と実践(経験)が書かれている。本書を最初に読んだのは33年前(大学4年生)。今やコーチングは当たり前のようにビジネスにも応用されているが、褒める効果、内発的動機付け、目標設定と達成へのフォローアップなど、それまで聞いたこともなかったコーチングの考え方に衝撃を受けた。教員として学生指導の基本となった本と言っても過言ではない。著者は心理学の大学教授でフットボールの名コーチ(当時)。実践に基づいており、わかりやすく説得力があり、現代でも十分に通じるが、その一方でコーチングの難しさも感じる。同著者の『コーチングの心理学』(2007)もお勧めです。
コラム掲載号:
理工学メディアセンターニュース229号(2021年4月)
吉岡直樹先生(応用科学科)の一冊
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ホンモノの偽物(亜紀書房刊) by リディア・パイン著 菅野楽章訳請求記号: SS@368@P1@1
ISBN: 4750516716
発行年: 2020.11
フェイクニュースという言葉をよく耳にしますが、美術館や博物館に飾られている絵画作品や展示品は本物であると皆思っています。この本を読むと、本物と偽物の境目は、そのようなものでも単純ではないことがわかります。また、偽物=悪とは限らないこと、本物と偽物はつねに線引きできるわけではなく本物か偽物かの基準は時代によって変わること、さらにその線引きや解釈にはグレーゾーンが存在することが強調されています。著者は、科学と物質文化の歴史を研究する著述家で、芸術作品、宝石、香料、遺跡など8つのエピソードを紹介しています。
この本は、ホンモノの偽物が身の回りにも沢山あるような気にさせてくれる楽しく読める一冊です。
コラム掲載号:
理工学メディアセンターニュース228号(2021年3月)
野崎貴裕先生(システムデザイン工学科)の一冊
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君たちはどう生きるか by 吉野源三郎請求記号: SS@159@Y3@1
ISBN: 4838729464
発行年: 2017.8
新型コロナウィルスの発生により、世の中は大きく変わりました。しかし、このような時代だからこそ、自らの人生に向き合い、しっかりと前に進むことが重要なのではないでしょうか。本書では人生に悩む中学2年生のコペル君とその叔父との対話が綴られており、ステレオタイプな考え方にはめ込まれることの危険性や、真に自分の中から湧き出る価値判断の重要性が描かれています。私たちはこれからどのような時代を生き、どのような人生を歩むのでしょうか。1937年に出版された本書ではありますが、人間としての生き方や在り方の根幹について考えさせられます。この機会に一度立ち止まり、考えてみてはいかがでしょうか。『君たちは、どう生きるか。』
コラム掲載号:
理工学メディアセンターニュース227号(2020年12月)
末永聖武先生(化学科)の一冊
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芙蓉の人(文春文庫) by 新田次郎請求記号: SS@913@N12@1
ISBN: 4167901226
発行年: 2014/6/10
明治28年(1895年)に富士山頂で世界初の冬季高地気象観測を命懸けで行った野中到・千代子の物語です。妻 千代子の視点から書かれています。私財を投じて富士山頂に観測小屋を建設し、到は一人で富士山頂での越冬、昼夜2時間毎の観測に挑みました。聡明な千代子は計画に無理があることを察し、密かに周到に準備して到の後を追って富士山頂へ向かうのでした。過酷な観測生活のリアルな描写は、富士山頂で実際に気象観測を経験した著者ならではですが、本書の主題は千代子の生き様でしょう。著者はあとがきで「現在の世に、野中千代子ほどの情熱と気概と勇気と忍耐を持った女性が果たしているであろうか。」と記しています。
コラム掲載号:
理工学メディアセンターニュース226号(2020年4月)
生駒典久先生(数理科学科)の一冊
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超一流になるのは才能か努力か?(文藝春秋刊) by Anders Ericsson,Robert Pool請求記号: SS@141@E1@1
ISBN: 4163904956
発行年: 2016.7
本書では、超一流と呼ばれる人々がどのようにして自己の能力を磨いたか、に関する考察をしている。特に「生まれつきの才能」ではなく、「限界的練習」と呼ばれる方法が自己の能力を磨く上で重要だと主張し、本書での方法論は様々な分野において適用可能だともしている。
私個人としては、「生まれつきの才能」に頼らず、自己の能力を磨きたいという人に推薦したい本である。また本書の内容と類似した書籍もいくつか出版されている。
最後に本書の内容と重なることも多いと思われる元プロ野球選手鈴木一朗氏の言葉を紹介して終わりたい:「小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただひとつの道だと思っています。」
コラム掲載号:
理工学メディアセンターニュース225号(2020年3月)
渡辺宙志先生(物理情報工学科)の一冊
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闘うプログラマー : ビル・ゲイツの野望を担った男達 by G.パスカル・ザカリー請求記号: SS@007@Z1@1
ISBN: 4822247570
発行年: 2009.7
マイクロソフトの命運をかけた次世代OS、Windows NTを開発した伝説のプログラマー、デイヴィッド・カトラーの伝記のような内容である。
プロジェクトの大半はバグとの闘いだった。原題のShow Stopper!とは「拍手によりショー進行が止まるほどの名役者」と「プロジェクト進行がストップするほどの重大なバグ」の二通りの意味がかけてある。鬼軍曹と呼ばれたカトラー率いるメンバーが巨大なソフトウェアを開発していく様は、まさにデスマーチと呼ぶにふさわしい凄惨な現場であった。
巨大プロジェクトを進行し、完遂するとはどういうことかをこの本は教えてくれる。プログラムに興味がある人は必見。
コラム掲載号:
理工学メディアセンターニュース224号(2019年12月)
野田啓先生(電子工学科)の一冊
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失敗学のすすめ(講談社刊) by 畑村洋太郎請求記号: 336.17@H10@1
ISBN: 406210346X
発行年: 2000.11
人間誰しも多くの失敗を経て成長していきますが、不必要な失敗は極力減らしたいものです。その方策として本書では、様々な失敗事例を詳細に分析し、肯定的に捉え、有効活用するという「失敗学」が提唱されています。また、その方法論に留まらず、「臭いものに蓋をする」という人間のネガティブな習性に触れつつ、個人や組織が健全に成長・発展していくための考え方が論じられています。
私が大学院生であった頃に本書を初めて手にしたのですが、今改めて読み直しても、業種を問わずに共感できる/参考にできる内容が多いのでは、と感じています。 近い将来、社会に羽ばたいていく学生さんにお薦めしたい一冊です。
コラム掲載号:
理工学メディアセンターニュース223号(2019年10月)
浅井誠先生(機械工学科)の一冊
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生まれ出づる悩み「小さき者へ・生れ出づる悩み / 有島武郎著 (新潮文庫刊)」所収 by 有島武郎請求記号: SS@913@A10@1
ISBN: 4101042047
発行年: 2003.3
芸術を志す青年と著者の心の対話を描いた傑作。己の才能と生まれの貧しさの間で迷い戸惑う青年を、著者はこう突き放します。−“それを君に勧めるものは君自身ばかりだ。君がただひとりで忍ばなければならない煩悶、(略)それは君自身の苦しみ、君自身で癒さなければならぬ苦しみだ”−やがて青年は生活の為に海に出ます。変わりゆく青年の様を知り、著者はこの地球の隅々に潜む苦悩の存在に思いを馳せます。この地球が生み出す悩み・苦しみ・生きとし生けるもの全てを想い、著者は最後に渾身のエールを贈ります。たとえ全ての有島作品が忘れ去られたとしても、この一文だけは夢追い人の心に永遠に残る名文だと私は思います。
コラム掲載号:
理工学メディアセンターニュース222号(2019年9月)
堀田耕司先生(生命情報学科)の一冊
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生物の大きさとかたち : サイズの生物学 by T.A. McMahon, J.T. Bonner請求記号: 463.7@M1@1
ISBN: 4807912194
発行年: 2000.4
地球上には細菌からシロナガスクジラまで異なるサイズの生物が存在する。サイズの変化がもつ物理的影響をレイノルズ数や無次元量などを用いて説明している。これによりサイズの違いによって生物をとりまく環境からの制約が異なることがわかる。例えばミクロの世界では粘性等が重要であり、重力の影響は無視できる。本書を通じ、異なるサイズごとに形や行動様式がいかに最適にデザインされているか改めて気付かされる。
この本は1983年に出版された洋書の翻訳であるが「サイズ生物学」が流行る現在において、扱う内容は古さを感じさせない面白いものである。
コラム掲載号:
理工学メディアセンターニュース221号(2019年7月)
寺岡文男先生(情報工学科)の一冊
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折々のうた by 大岡信請求記号: SS@911@O1@2
ISBN: 4004201136
発行年: 2003.5
和歌や俳句に興味を持つきっかけは、高校時代のS先生による古文の授業であった。柿本人麻呂の相聞歌の結句「妹(いも)が門(かど)見む靡(なび)けこの山」を、S先生自身が心を揺さぶられて講義しておられた姿が思い出される。その後は本塾大学工学部に進み、和歌や俳句からは遠ざかっていた。本書を手にしたのがいつだったかは良く覚えていない。朝日新聞の連載コラムを本にまとめたものであり、「企てているのは『日本詩歌の常識』づくり」と述べられている。今もときどき適当に本書を開いてはいくつかの作品に目を通す。心が安まる。
印象的な作品を1つ挙げる。「去年今年(こぞことし)貫く棒の如きもの(高浜虚子)」。改元の際、新聞のコラムでも取り上げられていた。本書の解説では「貫流する天地自然の理への思いをうたう」とあるが、「研究の方向性をぶれずに保つ」と我流で解釈しておこう。
コラム掲載号:
理工学メディアセンターニュース220号(2019年6月)
満倉靖恵先生(システムデザイン工学科)の一冊
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「死」とは何か : イェール大学で23年連続の人気講義 by シェリー・ケーガン請求記号: 114.2@K1@1
ISBN: 4866510773
発行年: 2018.10
誰しもが一度は考えたことのある“死“。私が紹介する『DEATH』はイェール大学で長年人気の講義をまとめた一冊である。
死はどうなる事を意味しているのか、死ぬ事は悪い事なのか、なぜ死は怖いのか、などの疑問に哲学という学問を通して理論で考えようとする本である。不死が可能になったらそれを手に入れたいか、読者への問いかけを通して死について考えさせ、アンカウンタブルな残りの人生を大切に生きる事を学ばせている本にも思える。形而学的に“死”について結局何を示しているのか、については残念ながら言及されてはいないが、人間を正常に機能する身体(考え・感じ、愛する機能(P機能))と心臓を動かしたり、肺を広げたり縮めたりする機能(B機能)に分け、死の意味を分かりやすく理論的に考えようとしている。
誰もが避けて通ることができない“死”について、“自分にも必ず最期は来る”ということを再認識させ、人生をどう生きるかについて今一度考えるきっかけとなる本である。尊厳死について考えるきっかけを与えられた本でもある。
コラム掲載号:
理工学メディアセンターニュース219号(2019年5月)
垣内 史敏先生(化学科)の1冊
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炭素文明論:「元素の王者」が歴史を動かす(新潮選書刊) by 佐藤健太郎請求記号: 435.6@S5@1
ISBN: 4106037327
発行年: 2013.7
人類にとって最も身近な元素である炭素から作られる有機化合物。どのように人類の発展に、また歴史に関わってきたのかについて、著者のユニークな視点から書かれています。有機化合物は、食料、医農薬品、マテリアル、燃料など、身の回りに溢れています。数多くの有機化合物の中から著者の視点で選んだ化合物にまつわる話がオムニバス形式で書かれています。尿酸の話では、世界で最初に痛風に苦しめられたのはティラノサウルス??といった話も盛り込まれています。有機化合物が構造式と一緒に書かれていますが、構造式はちょっと勘弁して欲しい方でも大丈夫です。気になる化合物があれば、化学の知識が無くてもそれにまつわるエピソードや文化、歴史、偉人の人生も楽しむことができますよ。
コラム掲載号:
理工学メディアセンターニュース218号(2019年4月)
慶應義塾大学 理工学メディアセンター レファレンス担当
TEL: 045-566-1477 email: rmc-ref-group@keio.jp
Website: https://www.lib.keio.ac.jp/scitech/