本書を手に取ったのは、自分に子供が生まれ未来がどうなるかが非常に気になった、という科学者としては少々不純な動機からである。ただ、読み始めれば甚だ面白かった。子供が10歳となった今でも皆さんに紹介したいと思うほどである。言うなれば物理法則に従うドラえもんを読んでいるようなもので、その科学の未来についての描写は今でも全く色褪せていない。説明もとても分かりやすく科学が完全にエンターテインメントと化している。この本に刺激を受け私は、我々がタイプIII文明に到達する頃にはGravitational wave Amplification by Stimulated Emission of Radiation(Gaser)装置によって惑星系を自在にデザインできるようになっているのではないか、と夢想するようになった。
コラム掲載号:理工学メディアセンターニュース246号(2023年5月)
三木則尚先生(機械工学科)の一冊
なぜ脳はアートがわかるのか : 現代美術史から学ぶ脳科学入門 by エリック・R・カンデル著 ; 高橋洋訳