会期:2020年10月7日(水)~10月13日(火) (終了しました)
会場:丸善・丸の内本店4階ギャラリー(入場無料)
時間:9:00~21:00 最終日16:00閉場
主催:慶應義塾図書館
協賛:丸善雄松堂株式会社
古代・中世の日本では、読書の対象となったのは主として中国伝来の書物「漢籍」だった。
日本人はこの難解な書物をどのように学習し、また、どのように活用したのか。
古代から中世にいたる読書の様相を慶應義塾図書館の蔵書でたどる。
展示会図録(1部1,000円)はこちらからお申し込みいただけます。→図録購入申し込み
10月9日(金)18時~
10月11日(日)15時~
慶應義塾大学名誉教授 佐藤 道生
★ギャラリートークを動画でご覧いただけます(2020年10月9日 約1時間)
「日本人の読書」ギャラリートーク
※図録を見ながら解説を聞くと、より一層楽しめます。
まだ図録をお持ちでない方は オンライン購入へどうぞ!
(三田メディアセンターメインカウンターでも販売中)
<参考> 過去の展示会のギャラリートーク動画(展示会の概要については、左側のメニューからご覧いただけます。)
2019年度 「究極の質感(マテリアリティ)-西洋中世写本の輝き-」
2018年度 「インキュナブラの時代―慶應義塾の西洋初期印刷本コレクションとその広がり」
2017年度 「古文書コレクションの源流探検-反町十郎、反町茂雄、木島誠三、木島櫻谷、そして…」
(〔南北朝末隋〕写)
『論語疏』は正式には『論語義疏(ろんごぎそ)』と称され、中国六朝時代の学者として知られる梁の皇侃(おうがん)(488~545)の手による『論語』の注釈書です。本書に記された文字の字体字様を詳細に比較検討した結果、本書は遣隋使、遣唐使によってもたらされた、隋以前の中国写本であると推定されます。まとまった紙の写本として仏典以外では現存最古級のものです。 詳細は慶應義塾大学発信のプレスリリース「慶應義塾大学三田メディアセンター(慶應義塾図書館)が『論語』の伝世最古の写本を公開(9/10)」をご参照ください。
(南宋刊)
『文選』は梁の昭明太子、蕭統(しょうとう)(501–31)が周代から梁代に至るまでの作者百三十余名の作品約八百篇を選び、それを文体にしたがって分類した一大詞華集です。日本でも『文選』は学問の対象となり、大学寮紀伝道(きでんどう)の重要な教科となりました。中国では宋代に入ると、数多ある文選注の中から李善(りぜん)注と五臣(ごしん)注とが選ばれて刊行され、李善注は字句の典拠・用例を精査した点に特徴があり、五臣注は難解な本文を敷衍し大意を示した点に特徴があります。両者を合わせ見れば(異なる解釈を立てている場合もありますが)、より一層理解を深めることができるため、両者を合刻した六臣注も現れました。展示書はその六臣注の南宋末期、建安刊本であり、四部叢刊の底本となった上海涵芬楼(しゃんはいかんぷんろう)蔵本と同版で、室町時代の仮名点が書き入れられています。
(永禄11年(1568)、慶長5年(1600)写)
合戦の日取りなどを決めるのに占い(易)が重視された戦国時代において、下野国(現栃木県)にある足利学校は数多くの軍師を輩出する名門の学校として有名でした。本軸には、そこで易の方法が伝授された際に師から弟子たちへと与えられた六通の文書がまとめて収められています。そのうちには、孔子にはじまって当時にいたるまでの伝承を系図にして、この時の伝授の内容がきちんと伝えられたことを保証する文書や、伝授を受ける際の精進潔斎の方法を示した文書、伝授の際に唱えたと思われる呪文が記された文書、伝授された内容をみだりに他人に教えてはいけないとする起請文などがあり、興味深い内容となっています。
(永禄6年(1563)写)
平安時代中期以降、大学寮で儒教経典を専門としてきた明経道(みょうぎょうどう)の博士家である清原家の証本(家の学問的権威を保証する由緒正しい本)です。室町時代屈指の碩学と評される清原宣賢(きよはらののぶかた)(1475–1550)が加えた訓点を正確に書き移したもので、朱の点によって読み方を表したヲコト点も鮮明に見ることが出来ます。
(〔室町中期〕写)
儒教社会の習いとして、貴族の子弟は十歳になると読み書きの学習を始めることになっており、その時に用いる書籍は『礼記』の記述に因んで「幼学書」と呼ばれていました。古代・中世の幼学書としては、『千字文』、『百二十詠』、『蒙求』、『和漢朗詠集』の四種の書が知られ、当時、この四種の幼学書を学習することを「四部の読書」と呼び慣わしていました。展示書は、『百二十詠』の有注本で、現存する伝本が極めて少ないものです。幼学書の場合、師匠だけが有注本を用い、門弟は正文のみの無注本を携えて伝授の場に臨みました。
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