会期:2014年10月22日(水)~10月28日(火) (終了しました)
会場:丸善・日本橋店3階ギャラリー (入場無料)
時間:9:00~20:30 最終日17:00閉場
主催:慶應義塾図書館
協賛:丸善株式会社
創作が仏教的な罪と考えられていた時代、紫式部は地獄に堕ちたと信じられました。その一方で『源氏物語』は熱狂的な読者を獲得し、注釈書や絵入本など様々な形で愛読されました。王朝物語の歴史を華やかな挿絵と多様な装訂でお楽しみください。
10月25日(土)、26日(日) 各14:00~ (申込不要)
慶應義塾大学附属研究所斯道文庫 教授 佐々木 孝浩
書写過程で微妙に異なる『源氏物語』が流布していたのを、鎌倉時代には本文を校訂して整える努力がされました。その1系統が「河内本」と呼ばれるものです。鎌倉幕府に仕えた河内守の源光行・親行親子が20年かけて校訂した「河内本」は室町前期頃まで広く用いられました。本書は河内本成立期の書写で、良質の料紙 に後京極流に属する優美な筆跡でゆったりと書写されており、特別な清書本であった可能性が高く、本文の考察に極めて重要な存在です。
室町後期から江戸時代前期に流行した「奈良絵本」に属する写本ですが、これだけ小さいものは稀です。「きりつほ」「若紫」などから抜粋した文章に挿絵が添え られ、人形の飾りとする為の「雛本」に属するものでしょうか。本書は徳川幕府高家であった前田家に伝来したもので、5代将軍綱吉より拝領との伝承を有し、 書誌学的にも文化史的にも価値が高い資料です。
日本最古の物語である『竹取物語』は、江戸時代以後に絵入本が数多く制作されました。江戸前期制作の豪華な奈良絵本絵巻類は、後に切断して屏風に仕立てられ ることが多く、本屏風もその一例です。詞書部分の上下の金砂子は、豪華さを増すために屏風に仕立てた際に後蒔きしたものと思われます。また、本文は金泥下絵の料紙に専門の書き手と思われる筆跡で優美に清書されており、挿絵も相当力量のある絵師のものと判断されます。
『伊勢物語』は絵画化の対象としても人気があり、鎌倉時代から江戸時代に至るまで数多くの絵巻や絵入冊子本が作られ、現在も残っています。本資料は、分割して 屏風に貼り込まれていた絵巻を後に剥がしたもので、通常の半分の高さの「小絵(こえ)(巻)」に属するものです。小絵は室町時代に流行した形式です。
江戸時代、高貴な家では豪華に仕立てた書物を嫁入り道具に加える習慣がありました。本資料も上等な「嫁入本」で、一見地味な箪笥の裏面は輝く梨地で、蓋裏も 蒔絵の紫式部像という豪華さです。「きりつほ」巻には桐の木と壺を金銀泥で描くなど、巻名や内容を象徴する図を描いた表紙も手が込んでいます。料紙の上質さも言うまでもありません。
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