室町時代後期から江戸時代中期にかけて、豪華な絵本や絵巻が作られました。俗に、奈良絵本・絵巻と呼ばれる作品群です。
そこには、動物や虫、鬼や天狗をはじめ、一見するとちょっと変な、擬人化された生きものも登場しています。それらが、いつ誰によって作られたかを明らかにしてみましょう。
会 期 :2023年10月4日(水)~10月10日(火) (終了しました)
会 場 :丸善・丸の内本店4階ギャラリー(入場無料)
時 間 :9:00~21:00 最終日16:00閉場
主催:慶應義塾図書館
協賛:丸善雄松堂株式会社
奈良絵本・絵巻とは、室町時代後期から江戸時代中期にかけて制作された、豪華な手作り・手彩色の絵本や絵巻のことです。そこには、動物や鳥、虫たちが多く描かれていますが、その描き方は、さまざまです。彼らは、物語本文において会話をしていますので、絵も擬人化されることがあります。どのように擬人化しているのかは、作品によって異なっていて、それらを比較すると、現代の日本文化に通じる絵も出てきます。さらに、鬼や天狗たちの姿も、バラエティーに富んでいます。今回の展示では、これらのおもしろい絵を数多く公開するとともに、これらの作品が、いつ、誰によって、どのように制作されたかを明らかにします。
10月 6日(金)18時~
10月 8日(日)14時~
慶應義塾大学文学部教授 石川 透
★ギャラリートークを動画でご覧いただけます(2023年10月6日 約1時間)
「へびをかぶったお姫さま」ギャラリートーク
[江戸前期]写
「宴会する鼠たち」
東寺の塔に住む白鼠・弥兵衛は、病気の妻に食べさせるために雁を捕まえようとするものの、大きな雁に遠く常磐の国まで飛んで連れ去られてしまい・・・ 鼠を擬人化した異類物。鼠の嫁入り行列や、食卓風景等が生き生きと描かれた楽しい作品です。
[江戸前期]写
「元気な鬼の首」
御伽草子として最も有名な物語の一つ。都から若い美女をたびたび奪っていく大江山の鬼神の退治を命じられた、源頼光と貞光・末武・綱・公時・保昌の奮闘が描かれます。泥酔し鬼の姿に戻って眠っていた童子は、首だけになってもなお、頼光に食らいつきます。
[室町末期]写
「踊る天狗たち」
大唐の天狗・是害坊が、日本の仏教を妨げようとして、かえって散々な目にあってしまう物語です。法力比べに敗れた是害坊は温泉で怪我を癒し、日本の天狗達と歌をかわして唐へ帰りました。『是害坊』には室町時代制作の絵巻が数点残されており、当時流行していた物語だということがわかります。
[江戸前期]写
「竜宮の怪人たち」
有名な浦島太郎の物語。助けた亀が化身した女と結婚した太郎が三年を過ごした蓬莱の国の場面では、頭に海の生物を載せた人物達が描かれています。物語の終末、玉手箱を開けた太郎は鶴に変身。飛び立つ背後にある祠は、彼が神として祀られた事を示します。
[江戸前期]写
「蛇VS蛙 微笑む蛇」
秋の夜に聞こえてくるのは虫達がくりひろげる歌合。左右に分かれて和歌の勝敗が判定される中、最後の詠み手は蛇とおびえる蟇蛙です。勝利の栄光はどちらに?本作に署名はありませんが、居初つなが絵も文も手がけたと推測されています。なお、蛙や蛇は、江戸時代までは虫に分類されていました。
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