白痴 by ドストエフスキー請求記号: L@983@Do1@14-1C~2C
ISBN: 4003261380
発行年: 1994
高校から浪人時代にかけて、ドストエフスキーをむさぼるように読んでいた時期がありました。主体的に読んだというより、その異常に凝縮度の高い文章に呪縛されて読まずにはいられなかった、という方が正しいでしょう。人間の醜さ、恐ろしさ、愚かさ、美しさ、気高さ、いとおしさを、これほど強烈に教えてくれる作品群はなく、その意味でまさに人生観が変わる読書体験でした。 人間には、ある書物に出会うべき年頃があると言われますが、さしずめドストエフスキーは若い頃に読むべき作家の筆頭格といえるかもしれません。とはいえ、あまり読み過ぎると、自分の中の「未知なる怪物」の存在に気づいてしまって健全な社会生活に支障を来すおそれがあります。敬して遠ざけるのが実は賢明なのかもしれません。