統計の種類や仕組み・その特性を知っていると、統計データを探す際に役立ちます。
◆統計の調査主体
まずは必要なデータが、どのような機関によって調査・提供されているかを考えましょう。確認すべき資料やデータベース、データが掲載されていそうなWebサイトなどを推測します。
作成機関 | 統計例 |
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国(官公庁) | 例: 国勢調査報告 ※その他の統計は総務省統計局掲載の統計を参照。 |
都道府県や市区町村 | 統計でみる都道府県・市区町村のすがた |
民間企業や調査・研究機関による統計 | NHKの世論調査 |
国際機関による統計 | UNdata |
◆代表的な調査方法・調査対象とその例
統計は調査対象や調査方法によって大別できます。そのためには、それぞれの特徴や違いを知っておく必要があります。
●調査対象による分類
調査方法 | 手法 | 代表的な統計調査 | 特徴 |
---|---|---|---|
全数調査 | 調査対象の全ての要素を調査 | 国勢調査、事業所・企業統計調査 など | 大規模かつ網羅的に調査を行うため、精度が高いデータが得られます。ただし調査に時間がかかるため、どうしても速報性に欠けます。費用がかさむこともあり、多くは隔年もしくは数年おきに実施されます。 |
標本調査 | 対象の一部をサンプリングして行う調査 | 労働力調査、世論調査、ビデオリサーチ社の視聴率調査 など | 全数調査と比べて少ないサンプル数を用いるため、迅速に結果が得られ、速報性が高いのが特徴です。月単位・日単位などの細かいデータを必要とする場合や、各年人口の動きを見るための「動態調査」を行う場合は、この標本調査の手法がとられます。ただし、サンプル数が少ないほどデータと実態の誤差・乖離が大きくなります。 |
●調査方法による違い
調査や業務に基づいて得られた統計データそのものを「一次統計」と総称します。一次統計やその他のデータを合わせて加工・編集したものを「二次統計」と呼びます。
調査方法 | 統計の概要 | 代表的な統計調査・統計資料 | 特徴 | |
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一次統計 | 調査統計 | 調査によりデータを収集したもの | 国勢調査 | 調査目的に沿ったデータを取得することができます。 |
業務統計 | 業務の中で得られた数値を統計として編集したもの | 財務省貿易統計(税関業務に基づく) | 業務の中で作成されるため、比較的安価かつ簡便に作成できます。任意提出の書類など不完全な情報源から作成された場合、実態を表していない場合があります。 | |
二次統計 | 加工統計 | 一次統計やその他のデータを、一定の条件(計算式等)で加工したもの | 国民経済計算(GDPなど)、消費者物価指数 | 一次データではわかりにくい事象も指数化することで、動態や推移を把握しやすくなります。 |
総合統計 | 特定テーマに基づいて主要な統計をとり、再編集して提示したもの | 日本統計年鑑 | 特定分野の統計データを一覧するのに役立ちます。また統計データの索引としても使えます。 | |
歴史統計 | 特定の統計データを長期的かつ時系列的に収録したもの | 日本長期統計総覧 | ある事項に関して、長期的な統計データを得るのに役立ちます。 |
◆調べる媒体(電子/紙)
電子媒体は、エクセルなどの表計算ソフトや、RやStataなどの解析ソフト、GISソフトウェアなどに簡単に取り込むことができ、加工・編集しやすいのが特徴です。ただし古い年代の統計については紙媒体しかない場合もあります。電子と紙を使い分けることで、幅広く統計情報を得ることができます。以下に両者の特徴をまとめました。
媒体 | 取得方法 | 特徴 |
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電子媒体 | 無料データベース | 速報性が高く、無料で簡単に情報を手に入れられるのが特徴です。しかし中には情報源が不確かなものも含まれるため、官公庁のサイトを除いては注意が必要です。 例:e-Stat、各業界団体のWebサイト等 |
有料(契約)データベース | 無料のものと同様、速報性が高いのが特徴です。有料公開の重要データなども含まれます。検索機能も充実しており、一部データを加工・編集してダウンロードできる利点もあります。 > データベースナビ |
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紙媒体 | 統計書等 | 公的統計をはじめ、統計を電子データとしてダウンロードできるものが増えています。しかし、一部のデータ(特に古いデータ)は紙媒体でしか入手できない場合が多々あります。紙媒体の特徴として、一覧性が高く、通覧が容易な点が挙げられます。 |