福澤諭吉は生涯にわたり多数の著作を遺しました。最初の出版物となった『増訂華英通語』を皮切りに、教科書などでもおなじみの『学問のすゝめ』や『文明論之概略』、そして自伝文学としての評価も高い『福翁自伝』まで、その著作の範囲は多岐に渡っています。それらは現在も論文、演説、文学作品などで引用されており、慶應義塾図書館にも、その著作に関する問い合わせが多数寄せられています。ここでは、福澤諭吉に関する研究文献も含め、入手の助けとなるよう、各種情報を紹介します。
著作一覧
・福沢諭吉編集著作およびその関連書
・福沢諭吉編集著作の全集・選集
・外国語に翻訳された福沢諭吉著作
・デジタルで読む福澤諭吉
福澤諭吉著作の初期版本55タイトル、全119冊の全文をデジタル化し公開したものです。テキスト中の語による全文検索も可能です。各著作に『福澤諭吉書誌 : 福澤諭吉全集完成記念』(富田正文著)の解説がついています。
そのほか著作
草稿福翁自傳 by 福沢諭吉協会編纂 (1980) (1WA@91@1~)
「福翁自傳」の草稿と 『福翁自傳』(時事新報社, 1899.6刊)の復刻版および、解題1冊をセットにしたものです。草稿は原寸大で読みやすい和装本仕立てになっています。
西航手帳 by 福沢諭吉[著] ([1984]) (1BA@34)
文久2(1862)年ヨーロッパ巡遊時に福澤諭吉が所持していた手帳を忠実に複製したものです。日本語、オランダ語、英語交じりのさまざまなメモが記されています。これをもとに『西洋事情』が書かれました。福澤諭吉生誕150年記念に限定制作され、別冊として、解読・解説(富田正文,長尾政憲著)があります。
[復刻]中津留別の書 by 福澤諭吉著 (1985) (A@159@F2@3)
福澤が母親を東京に連れて行くために故郷の中津に戻った際に中津の人々に向けて残した別れの書の復刻版です。福澤の後年の思想の原型を見ることができる貴重な資料です。原本は出版はされず、写本で多くの中津の人々に読まれました。この復刻版は図書館所蔵の福澤自筆の稿本を元にしています。
全集・選集
福澤諭吉全集 by 慶應義塾編纂 (1969.10-1971.12(再版)) (RA@090@Fu207@1-1~)
福澤諭吉著作を網羅した全集で、全21巻+別巻の構成です。著作はもちろん、断簡や紙片、草稿、書簡、新聞記事、遺墨に至るまで収録されています。各巻末に後記があり、収録著作、資料についての解説があります。別巻には、初版発行以降に発見された新資料を追加収録しています。刊行後の新発見資料は『福沢諭吉年鑑』(福沢諭吉協会刊)、『近代日本研究』(慶應義塾福沢研究センター刊)で発表されています。また、それらの多くは『福沢関係文書』(マイクロフィルム)に収録されています。
福澤諭吉著作集 by 福澤諭吉著 (2002.1-2003.11) (RA@090@Fu211@1-1~)
全12巻で、現代的意義の高い著作20点を収録し、新字体・現代かな遣いを 使用しています。現代では理解しにくい語句や福澤諭吉の思想を象徴する キーワードなどに語注があります。巻末に解説、および福澤諭吉の キーワードと固有名詞を中心とした索引がついています。
福沢諭吉選集 by 富田正文編者代表 (1980.11-1981.12) (RA@090@Fu210@1~)
全14巻で、各巻末に解題および後記がついています。
書誌
福澤諭吉書誌 : 福澤諭吉全集完成記念 by 富田正文著 (1964-) (RA@090@Fu316@1)
福澤諭吉の著作の初版55タイトルについての解説と表紙の写真が掲載されています。
福澤諭吉とその門下書誌 by 丸山信編著 (1970-) (RA@090@Fu321@1)
第1部第1編に、昭和44年10月現在までの福澤諭吉の著作の書誌事項が掲載されています。
書簡集
福澤諭吉書簡集 by 福澤諭吉[著] ; 慶應義塾編 (2001.1-2003.1) (RA@090@Fu274@1-1~)
『福澤諭吉全集』(岩波書店刊)に収められた福澤書簡に、『福澤諭吉年鑑』(福澤諭吉協会刊)の成果や新出書簡を加え、刊行時までに発見されたすべての福澤書簡を収録しています。月報付きです。
福沢諭吉百通の手紙 by 土橋俊一編集・解説 (1984.10) (RA@090@Fu271@1)
安政5年から明治31年までの間に福澤が書いた手紙の中から100通を選び、すべてに写真図版と釈文をつけたものです。手紙の宛先は政治家、教育者、中津関係、友人、慶應関係、家族など幅広く収録されています。
遺墨集
福澤遺墨コレクション
慶應義塾図書館が所蔵する福澤関係文書に含まれる墨蹟44点の高精細画像を公開しています。
傳記完成記念福澤先生遺墨集 by 慶應義塾圖書館編 (1932) (RA@090@Fu253@1)
福澤先生伝記完成記念展覧会(1931年11月21-23日, 於慶應義塾図書館)で展示された資料を撮影した図録です。遺墨、書簡、草稿だけでなく、遺品なども含まれています。この資料は国立国会図書館デジタルコレクションで全文画像がインターネットで公開されています。
福沢諭吉の遺風 by [富田正文編] (1954) (RA@090@Fu255@1)
福澤諭吉の遺墨集です。写真図版が大きく、刊行当時の学内外所蔵の福澤の遺墨を確認できます。釈文付きです。
創立150年を記念して東京、福岡、大阪を巡回した「未来をひらく福澤諭吉展」の図録です。「異端と先導」を副題に福澤の多方面にわたる活動を豊富な図版とともに紹介しています。巻末に主要参考文献、関連年譜があります。
学問のすすめノート : 福沢諭吉展 by 岩永悦子, 都倉武之, 平塚泰三編集 (2009) (RA@090@Fu536@1-2)
2009年に福岡市美術館と大阪市立美術館で開催された「未来をひらく福澤諭吉展」に合わせ発行された2種類の小中学生向け展覧会解説冊子です。九州と福澤、大阪と福澤の関係を重視した内容になっています。福澤の半生をたどるスゴロク付きです。
福澤諭吉と神奈川 : すべては横浜にはじまる : 特別展 by 慶應義塾, 神奈川県立歴史博物館編集 (2009) (RA@090@Fu536@1-4)
創立150年記念に横浜で開催された特別展「福澤諭吉と神奈川」の図録です。福澤諭吉と横浜、神奈川との関わりに焦点をあてています。
世紀をつらぬく福澤諭吉 : 没後100年記念 by 鷲見洋一, 前田富士男, 柏木麻里カタログ責任編集 (2001) (RA@090@Fu531@1)
福澤諭吉没後100年を記念して東京と大阪で開催された展覧会の図録です。巻末に関連年譜と主要参考文献があります。
福澤諭吉展 : 黒船来航から独立自尊まで : 生誕150年記念 by 福澤諭吉展委員会編集 ([1984]) (RA@090@Fu526@1)
福澤諭吉生誕150年を記念して東京、大阪、横浜で開催された展覧会の図録です。巻末に年譜があります。
傳記完成記念福澤先生遺墨集 by 慶應義塾圖書館編 (1932) (RA@090@Fu253@1)
福澤先生伝記完成記念展覧会(1931年11月21-23日, 於慶應義塾図書館)で展示された資料を撮影した図録です。遺墨、書簡、草稿だけでなく、遺品なども含まれています。この資料は国立国会図書館デジタルコレクションで全文画像がインターネットで公開されています。
一次資料
研究文献(雑誌)
研究文献リスト
以下の資料が参考になります。お近くの図書館や所属機関の図書館・資料室や国立国会図書館でご利用ください。
・慶應義塾図書館. 『福澤諭吉著作一覧』
・富田正文著. 1964年. 『福澤諭吉書誌:福澤諭吉全集完成記念』東京: 大塚巧芸社.
福澤諭吉の著作の初版55タイトルについての解説と表紙の写真が掲載されています。
・丸山信編著. 1970年. 『福沢諭吉とその門下書誌』(慶応義塾関係者文献シリーズ第1集). 東京: 慶応通信.
第1部第1編に、昭和44年10月現在までの福澤諭吉の著作の書誌事項が掲載されています。
・福澤諭吉著・慶應義塾編. 1969-1971年. 『福澤諭吉全集』(全21巻・別巻). 東京: 岩波書店.
福澤諭吉研究をテーマとした定期刊行物や叢書にどのようなものがあるかについては、福澤諭吉研究文献目録 (図書)・(雑誌)をご覧ください。福澤諭吉の研究文献については、丸山信編著 『福沢諭吉とその門下書誌』の第1部第2編に、昭和44年10月現在までの福澤諭吉研究文献が形態別・主題別で掲載されています。文献の執筆者がわかっている場合は、巻末にあるアルファベット順の福澤諭吉研究執筆者索引から該当するページを探すことができます。
福澤諭吉に関する雑誌論文については、国立国会図書館の「NDL ONLINE」の雑誌記事検索や「CiNii Research」で検索することができます。まずお近くの図書館や、所属機関の図書館・資料室にご相談ください。
福澤諭吉の門下生について知りたい。
以下の資料が参考になります。お近くの図書館や所属機関の図書館・資料室や国立国会図書館でご利用ください。
・丸山信編著. 1970年. 『福沢諭吉とその門下書誌』(慶応義塾関係者文献シリーズ第1集). 東京: 慶応通信.
福沢心訓七則は福澤諭吉が書いたものではありません。詳しくは以下の文献をご覧ください。
・富田正文. 1963年. 「福沢心訓七則は偽作である」 『福沢諭吉全集』(第20巻付録). 東京: 岩波書店. p.10
・富田正文. 1964年. 「重ねて福沢心訓について」『三色旗』 198号, p.2
・富田正文. 1972年. 「福沢心訓七則は偽作である」『塾友』 9号, p.5.
*は国立国会図書館の「レファレンス協同データベース」に登録している事例です。